オペラ全曲ざっくり解説の文字起こしです。
聴きながら読むと分かりやすい! 音声はこちら↓
こんにちは!テノール歌手の髙梨英次郎です。
本日はオペレッタをざっくり解説して参ります。
オペレッタも面白いですよ!
ということで今回は、ヴェルディをいったんお休みして、ヨハン・シュトラウス2世作曲オペレッタ「こうもり」を取り上げます。
どうぞ最後までお付き合いください。
まずオペレッタとは、日本語で喜歌劇と訳されますが、直訳すると小さなオペラ、というような意味で、軽めのオペラ、親しみやすいオペラ、というニュアンスがあるジャンルのことを指します。
歌や音楽が次々と演奏される合間に、セリフでつないでいく、今のミュージカルのご先祖のような形です。
そのほとんどが恋愛を中心とした物語で、ほとんどがハッピーエンドです。
フランスのオッフェンバックという作曲家の作品(代表作「天国と地獄」)に代表されるフランスもの、そしてヨハン・シュトラウスや「メリー・ウィドウ」が有名なレハールなどの作曲家によるドイツ語で書かれた作品の数々がこのオペレッタというジャンルに属しています。
その中でもこの「こうもり」は、オペレッタの王様と呼ばれるほどの代表作で、もはやオペレッタというジャンルを飛び越えた作品になっている感があります。
ウィーンでは、毎年大みそかに、ウィーン国立歌劇場で上演されることが通例となっています。
「こうもり」はどのようにして生まれたのか。
ヨハン・シュトラウス2世は、父ヨハンの後を継いで、ウィーンでワルツやポルカなど、当時のダンス・ミュージックを大量に作曲・発表・演奏を重ねて、その分野での第1人者となっていました。
地位と名声が確立されていた1870年に、母親のアンナ、弟で同じく作曲家として活躍したヨゼフが相次いでこの世を去ってしまい、ヨハンは精神的に落ち込んでしまいました。
作曲する気力もなくなってしまったヨハンに、周囲の人物、とりわけ1人目の妻のヘンリエッテが、ヨハンにオペレッタを書くことを薦めました。
もともとパリで活躍していたオッフェンバックがオペレッタをウィーンに持ち込んでから、ウィーンではスッペという作曲家がウィーン・オペレッタの作品で活躍していました。
ですのでヨハンは自分がそこに張り合う余地はないと思ったのですが、かつてオッフェンバックにも、
「君もオペレッタを書くべきだ」
と言われていたこともあり、ついにヨハン・シュトラウスもオペレッタの作品に取り組むことになりました。
2つほどオペレッタが完成し、ヒットしたりしなかったりで、3作目に、この「こうもり」が作曲されました。
初演は1874年4月5日、アン・デア・ウィーン劇場、ヨハン48歳。
初演は成功をおさめ、やがてヨハン・シュトラウスのオペレッタ代表作となっていくのでした。
それでは、ここからストーリーに移って参ります。
名作にはいろいろな解釈がつきもので、演出によってもその人物の行動理由や物語の解釈は変わってきます。
歌と歌の間の台詞に関しては、公演によって内容が変わることもあります。
ですので、ここでは初演当時の台本をもとに、ベースとなる物語のできごとを、なるべくわかりやすくお話したいと思います。
こうもり
全3幕
登場人物
アイゼンシュタイン:金持ちの銀行家
ロザリンデ:アイゼンシュタインの妻
フランク:刑務所長
オルロフスキー:ロシアの貴族
アルフレッド:歌手 ロザリンデの元カレ
ファルケ:アイゼンシュタインの友人
ブリント博士:弁護士
アデーレ:アイゼンシュタイン家の女中
イーダ:アデーレの姉(もしくは妹)バレエダンサー
大変有名な序曲が演奏されます。
この序曲を聴いてウキウキしない人がいるのでしょうか。
どうぞまずはこの曲だけでもお聴きください。
<第1幕>
アイゼンシュタインの屋敷。
窓の外から、アルフレッドが歌う声が聞こえてきます。
「愛しのロザリンデ!」
と、かつて付き合っていたロザリンデに向けて歌っているようです。
そこへ登場したのは、この家で女中として仕えているアデーレ。
彼女のもとに、姉妹のイーダから手紙が届いたとのこと。
「オルロフスキー公爵のお屋敷で今夜、すんごい豪華な舞踏会があるから、あなたもオシャレして来たらどう?奥様からドレスでも拝借すればいいじゃない」
なんて書いてありましたが、女中の身で、どうやって奥様にお暇を貰えばいいのか…。
アデーレが考えていると、またアルフレッドの歌声が。
ロザリンデ!と歌う声に、まぁ、奥様のことだわ!と気づきますが、今は舞踏会のことで頭がいっぱいで、あまり興味を持ちません。
そこへ当のロザリンデが登場。
アルフレッドが外にいて歌っていることに、ヤキモキしています。
アデーレは、一芝居打つことにします。
「奥様、私の伯母が病気になってしまったので、お休みをくださいませんか?」
しかし、ロザリンデは許可しません。
というのも、夫のアイゼンシュタインは、今日から5日間、刑務所に収監されることになっていたのです。
罪状は、役人を罵った挙句、数回ほど鞭でたたいた(あるいは殴った)というもの。
ロザリンデは女中がいないと生活に支障が出るタイプの奥様なのですね。
広い屋敷に一人で居ることも不安です。
休みを許可されなかったアデーレは泣きながら(嘘泣きでしょうが)部屋を出て行きます。
入れ替わりに姿を現したのは、歌っていたアルフレッド。
ロザリンデを直接口説くのですが、ロザリンデは
「私は結婚しているんだから!」
と出て行くように言います。
アルフレッドは
「旦那がムショに入ったら、また来てもいいと誓って!」
ロザリンデは仕方なく承知して、アルフレッドは出て行きます。
完全に拒否しないあたり、ロザリンデもまんざらではなさそうです。
そこへ、この家の主人アイゼンシュタインが怒りの形相で帰ってきます。
後から来たのは、弁護士のブリント博士。
ブリントは弁護士の資格をちゃんと持っているはずなのですが、緊張状態になると言葉が上手くしゃべれなくなってしまい、弁護もうまくいきませんでした。
アイゼンシュタインも判事にたてついたりした挙句、5日間の刑期が8日間に延びてしまいました。
言い争いの三重唱が歌われた後ブリント博士が出て行くと、入れ替わりにやって来たのは、アイゼンシュタインの友達ファルケ。
友人と2人にしようとロザリンデが出て行くと、ファルケは、アイゼンシュタインを今夜オルロフスキー公爵の屋敷で行われる舞踏会に誘います。
先ほど、アデーレも手紙で誘われていた舞踏会ですね。
「バレリーナの女の子もいっぱいいるぜ」
「そりゃ楽しそうだな!でも、妻に知られちゃまずいな」
「大丈夫だって。うまく誤魔化して、刑務所には明日いきゃいいさ。」
「…そうだな、そうしよう!」
アイゼンシュタインはすっかり乗り気になって、ファルケとうきうき踊り出します。
楽しい二重唱です。
ファルケが去って、アイゼンシュタインは刑務所に行くとは思えない、燕尾服の正装で出かける準備をします。
ロザリンデはその行動を怪しむものの、これで夫が刑務所に入れば、アルフレッドと過ごすことになる…。
ロザリンデはアデーレに、一転して休みをとることを承諾します。喜ぶアデーレ。
パーティに行けると喜ぶアイゼンシュタインとアデーレ、アルフレッドと過ごすかもと思うロザリンデ。
悲しい振りをしつつも、嬉しさが隠し切れなくなる、序曲でも主要な音楽となる、愉快な三重唱が歌われます。
ロザリンデが1人になると、待ってましたと、アルフレッドが屋敷に入ってきます。
アイゼンシュタインの寝間着ガウンを着て、置いてあったワインを飲みながら、陽気な歌を歌います。
ここで歌われる
「どうにもならないことは、忘れたほうが幸せだ!」
という言葉は、当時、ハプスブルク帝国の衰退、プロイセンとの戦争の敗北、景気の悪化などでつらい状態であったウィーンの人々に、とりわけ響くものでした。
ロザリンデもその場の雰囲気と彼の歌声に流されて、うっとりしてしまいます。
しかし、屋敷の外で誰かやって来た声がします!
刑務所長のフランクが、今夜収監される予定のアイゼンシュタインを迎えに来たのでした。
アイゼンシュタイン本人は舞踏会に向かっていますので、行き違いですね。
しかし家には男がいる!アルフレッドが!
これが夫ではないとバレたら、スキャンダルになってしまう!
ロザリンデはアルフレッドに耳打ちして、夫の振りをしてもらうよう頼みます。
所長フランクは、
「じゃあ最後にお別れのキスをどうぞ」
日本人ならいざ知らず、欧米の夫婦なら別れのキスくらい当然ですよね。
ロザリンデは躊躇するも、1度だけキス。
アルフレッドは調子に乗って、もう1回!とせがみますが、フランクに止められます。
フランクも何やら急ぎの用事がある様子。
こうしてアルフレッドはアイゼンシュタインとして、フランクに誤認逮捕されて護送されていくのでした。
ここで第1幕が終了します。
<第2幕>
ここはオルロフスキーの屋敷。
さあいよいよ、このオペレッタのメインイベントたる、舞踏会です。
華やかな音楽と共に、パーティに招かれた人々が楽しんでいます。
ロザリンデの衣装をくすねて、パーティに参加しているアデーレは、姉妹のイーダと再会します。
しかしイーダはアデーレが舞踏会に居ることにひどく驚いています。
「手紙をくれたじゃない!」
「私そんなの書いてないわよ。」
「どういうこと!?」
では誰が手紙を書いたのでしょうか。
ひとまずイーダは、アデーレを若手女優オルガとして、オルロフスキー公爵に紹介します。
オルロフスキー公爵は、まだ若いのに、人生に退屈しています。
そんな彼に、アイゼンシュタインの友人ファルケが、
「今日は面白い喜劇をご覧にいれましょう」
と約束しています。
そこへ、アイゼンシュタインが到着。
ファルケは彼を、フランス貴族ルナール侯爵としてオルロフスキーに紹介します。
オルロフスキーは、アイゼンシュタインに、強い酒を勧めて、自分が客をもてなす上での流儀を歌います。
このソロはオルロフスキーのエキセントリックな個性が表現された1曲です。
オルロフスキーを歌うのは、たいてい男性の服装を着たメゾソプラノですが、ごくまれにカウンターテノール、もしくは音域を下げてテノールによって演じられることもあります。
その後、舞踏会にいるアデーレを見つけたアイゼンシュタインはびっくり仰天。
「我が家の女中がなぜここに!しかも妻のドレスを着ている!」
「旦那様!…いえ、私は女優のオルガです」
「…オルガ、さん…いやしかし似ているなぁ、うちの女中に」
「まあ!なんてことをおっしゃるの!私を侮辱なさるのですか!」
アデーレが騒ぐので、皆も集まってきます。
そこでアデーレは、
「私のこの姿、とても魅力的でしょう、どこからどう見ても女優です!侯爵様ったらおかしいんですこと!」
と歌い、周囲の人々を巻き込んでアイゼンシュタインを笑い、事なきを得ます。
そこへ刑務所長のフランクが舞踏会に登場。
彼も、この舞踏会に招待されていたのでした。
刑務所長とは名乗らず、ここではシュヴァリエ・シャグランと名乗っています。
ファルケによって、アイゼンシュタインとフランクが引き合わされますが、2人はお互いの正体を知りません。
まさかこの後、刑務所で再会することになろうとは夢にも思っていないのです。
お互いフランス人と偽っているのですが、2人ともフランス語は喋れず、何ともぎこちないやり取りが交わされます。
まぁここはみんなにわかる言語で喋りましょう、となったとたん、2人はウマが合うようで、仲良くなっていきます。
舞踏会に、なんとロザリンデもやって来ます。
正体がばれないよう、仮面をつけています。
ファルケが彼女を呼んだようです。
実は、アデーレに偽の手紙を書いて舞踏会に呼んだのも、刑務所長フランクをここに呼んだのも、全てファルケの仕業です。
というのもファルケは、アイゼンシュタインにある恨みを持っていて、その復讐を果たそうとしているのです。
3年前、アイゼンシュタインとファルケは、仮装舞踏会(今のハロウィンみたいな)に参加しました。
アイゼンシュタインは蝶々、ファルケはこうもりに扮しました。
アイゼンシュタインはファルケにしこたま酒を飲ませて、酔いつぶれたファルケを馬車で運んで、森の木の下に置き去りにしてしまいました。
翌朝目を覚ました、こうもりに扮したままのファルケは、町中の笑いものになってしまったのでした。
このことをずっと恨みに思って、ファルケは3年かけて復讐の計画を練っていたのですね。
アイゼンシュタインを大いに笑いものしてやろうとしています。
アデーレやフランクを使ってその復讐は着々と進行しているのですが、その仕上げが、ロザリンデというわけです。
ここから演出によって、できごとの順番が入れ替わったりもしますが、ここではオーソドックスなパターンでお話します。
ファルケはロザリンデを、あるハンガリーの貴婦人として皆に紹介します。
アイゼンシュタインは、それが自分の妻とも知らず、彼女の醸し出す美しさに魅了されていきます。
アイゼンシュタインが外で女性を口説く時には、いつも高価な懐中時計をチラつかせて誘っていました。
そうとうお高い時計なのでしょうね。
時計をチェーンでぶら下げて、催眠術のように使っていたのかもしれません。
そのことを知っていたロザリンデは、うまくアイゼンシュタインを誘導して、まんまとその時計を奪うことに成功します。
焦るアイゼンシュタイン。浮気の証拠を手にしたと喜ぶロザリンデ、「時計の二重唱」として有名なナンバーです。
やがて舞踏会に出席した全員が集まってきます。
皆にハンガリー人かどうかを疑われたロザリンデは、
「仮面を取る代わりに、音楽で証明します!」
と、チャールダッシュというハンガリー伝統の音楽を歌います。
感動して盛り上がる一同。
続いてアイゼンシュタインは笑い話をしようと、ファルケが恥ずかしい目にあった話を大々的に皆の前で披露します。
苦虫をかみつぶしながら、ファルケとしても復讐が進行中なので、ほくそ笑んでいます。
オルロフスキーが先導して、みんなでシャンパンを飲もう!と、有名な乾杯の歌が繰り広げられます。
そしてファルケの呼びかけで、
「グラスを片手にお近くの方を、親しみを込めて「Du(君)」と呼んで、皆で兄弟姉妹になりましょう。今日のように明日も!いつまでも!」
と、壮大に平和を歌う感動的な音楽となります。
当時のウィーンの人々は第1幕のアルフレッドによる歌同様、この場面でも、胸を掴まれたのではないでしょうか。
不安な世の中、せめて自分の隣にいる人と、そこから周りの人々とで、仲良くやっていこうじゃないか、というわけです。
場合によってはこの後、ゲスト歌手やパフォーマーが登場して物語と関係のない歌を歌ったり、ヨハン・シュトラウスのワルツやポルカが挿入されることがあります。
そして舞踏会メインイベントのワルツが奏でられ、雰囲気は最高潮になりますが、時刻を告げる鐘の音が、朝が来たことを知らせます。
「まずい!もう刑務所に行かなきゃ!」
行かないとまた罪が重くなってしまうアイゼンシュタイン、出勤しないといけない所長フランク。
2人が慌てる様子を見て大笑いする招待客たちとオルロフスキー、そしてファルケでした。
ここで第2幕が終了します。
<第3幕>
刑務所の所長執務室。
看守のフロッシュが登場します。
フロッシュは歌わずに喋るのみの役なので、ここに舞台役者や有名人がキャスティングされることがよくあります。
彼は安い酒をしこたま飲んで、酔っぱらっています。
刑務所の一室からは、アイゼンシュタインとして収監されているアルフレッドの歌声が聞こえてきます。
そこへ、やはり酔っぱらったフランクが、千鳥足で出勤してきます。
アデーレが扮したオルガを気に入った様子で、鼻歌や口笛で舞踏会を思い出しながら、眠りについてしまいます。
やがてフロッシュに起こされたフランク。
アイゼンシュタインとして逮捕されたアルフレッドが弁護士を呼んでいるそうです。
そこへ女性が2人、刑務所を訪れてきました。
それはアデーレとイーダ。
驚くフランク。
アデーレは、自分は女優のオルガではなく、女中のアデーレだと明かし、それでも自分は女優としてこんなに才能があります!と、色々なシチュエーションで演技をしてみせるソロを歌います。
アデーレとイーダを刑務所の開いている1室へとフロッシュに案内させると、入れ替わりにアイゼンシュタインがやって来ます。
思わぬ再会に驚くアイゼンシュタインとフランク。
「何でここにいるんだシュバリエ!」
「君こそ!ルナール侯爵!」
「いや、実は…」と、お互いの正体を明かし合う二人。
ですが
「アイゼンシュタインさんなら、もうすでに刑務所に入られてますよ?」
「はっはっは!……何だって?」
自分になりすまして、妻と過ごしていたやつがいる!
怒りがわいてきたアイゼンシュタインは、フランクと入れ替わりにやって来た弁護士ブリント博士を捕まえて、その衣装をはぎ取り、ブリントに変装することでそいつと妻を尋問してやろうと思い立ちます。
やがてやってきたロザリンデとアルフレッドを相手に、ブリントに扮したアイゼンシュタインが質問を重ねていきますが、とうとう我慢が出来なくなり、自分の正体を盛大に明かします。
序曲のテーマも出てくる素晴らしい3重唱となります。
焦るロザリンデでしたが、懐から懐中時計を取り出して、
「この時計であなたは誰を口説いたのかしらねー?」
「な!!その時計は!ではあのハンガリー夫人は…」
そこへ!ファルケが舞踏会の招待客たちも引き連れて、一斉になだれ込んできます。
アイゼンシュタインにこの盛大なドッキリのネタ晴らしをする一同。
アルフレッドはどさくさに紛れて、自分のことも仕掛け人の一人だ、と誤魔化します。
ホッとするアイゼンシュタイン。それと同時に妻ロザリンデに対して、ひざまづいて許しを請います。
ロザリンデは
「すべてはシャンパンのせいよ!」
と、多少自分のことを棚に上げつつ、夫を許し、これにてファルケによる「こうもり博士の復讐」が幕を閉じるのでした。
おしまいおしまい。
いかがでしたでしょうか。
喜劇を説明するのは本当に大変で、何しろ実際に見ていただくのが一番!なので、ぜひお近くで公演があった際には足を運んでいただきたいと思います。
やはり生で見ていただくと、会場の雰囲気も相まって楽しい体験になること間違いありません。
当時の不安な情勢の中、ウィーンやヨーロッパの人々に響いて、その後も世界中で上演され続けたこの作品。
日本でも多く上演されてきましたが、今、2021年現在、まさにこの作品が求められる状況になっているのではないでしょうか。
つらいことを忘れられる人が幸せだ!
シャンパンでも飲んで忘れよう!
この作品では、登場人物のほとんどが、自らを偽っていきます。
でも偽りの身分で参加した舞踏会の楽しいこと楽しいこと。
シャンパンの泡のように儚くとも、夢のような楽しい時間を皆で過ごそうではありませんか。
登場人物の名前や設定には、当時のハプスブルク帝国をめぐる国と国との関係性が反映されている、という興味深い考察もされています。
詳しくは参考文献の書籍、特に小宮正安氏による「ヨハン・シュトラウス ワルツ王と落日のウィーン」をご参照ください。
オペレッタ「こうもり」、どうぞ多くの皆様に触れていただけますように。
ありがとうございました。
髙梨英次郎でした。
参考文献(敬称略)
小宮正安「ヨハン・シュトラウス ワルツ王と落日のウィーン」
ピーター・ケンプ・著 木村英二・訳「シュトラウス・ファミリー ある音楽王朝の肖像」
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