stand.fmによる音声配信の文字起こしです。
聴きながら読むと分かりやすい! 音声はこちら↓
オペラ「愛の妙薬」解説 - テノール歌手:髙梨英次郎のトークです | stand.fmドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」の解説です。 オペラ喜劇の大傑作! 0.00〜 概要、ドニゼッティの半生と初演に至るまで 7.37〜 ストーリー 前奏曲、第1幕 30.13〜 第2幕 ブログはこちら↓ #オペラ #愛の妙薬 #ドニゼッティ ...
こんにちは!テノール歌手の髙梨英次郎です。
本日もオペラを解説して参ります。
オペラって面白いですよ!
今回はイタリア喜劇オペラの傑作、ドニゼッティ作曲「愛の妙薬」を取り上げます。
生涯に70ものオペラ作品を生み出した作曲家ドニゼッティ(ヴェルディはオペラ作曲総数28作)の代表作にして、イタリアオペラにおける喜劇:オペラ・ブッファ全体の代表作ともいえる「愛の妙薬」。
ストーリーはシンプルで分かりやすく、喜劇と言ってもただのドタバタではなく、ロマン主義の時代の作曲家であるドニゼッティが持つ、ロマンティシズムに溢れた切ない音楽や場面もあって飽きが来ない、素晴らしいオペラです。
二重唱も多いので、学生や若手の公演にも取り上げられやすく、現在も各地で上演が行われています。
まだご存知ない方は予習に、もちろん知ってるよ!という方は復習に、どうぞこの記事をご活用ください。
まずは簡単にそれまでのドニゼッティご本人についてご紹介いたします。
1797年11月29日、イタリア北部の街ベルガモでドニゼッティは生まれました。
9歳から地元ベルガモの音楽学校で学び始め、18歳でボローニャ音楽院に入学。
大学在学中に初めてのオペラ「ピグマリオーネ」を作曲しますが、ドニゼッティの生前にはこの作品は上演されませんでした。
その後はヴェネツィアで初めてのオペラ作品が上演されたのをきっかけに、ローマやナポリ、ミラノなどでいくつものオペラを作曲し上演され経験を積んでいきました。
が、後世に残るような名声を得るほどのヒットには恵まれませんでした。
1830年、ドニゼッティ33歳の時、小さなものを含めると34作目に当たる『アンナ・ボレーナ』がミラノで上演されると、これが大ヒット!
その何年も前からイタリアオペラの大作曲家であったロッシーニは1829年に最後のオペラ「ウィリアム・テル」を上演して以来、37歳でオペラ作曲家を引退していたので、ドニゼッティはロッシーニの後継者として一気に名声を獲得したのでした。
その少し前に、やはりオペラ作曲家として人気を博していたのがヴィンチェンツォ・ベッリーニです。
ドニゼッティとベッリーニは、ライバル同士としてしのぎを削っていくことになります。
さて、そんなドニゼッティがいかにして『愛の妙薬』を作曲・上演するに至ったかを見て参りましょう。

ミラノで有名なオペラ劇場と言えばスカラ座ですが、スカラ座と同時期に建てられた劇場がカノッビアーナ劇場です。
この劇場はテアトロ・リリコという名前で、現在もミラノにあります。
19世紀前半当時、スカラ座はどちらかというと貴族などの上流階級向けとされていたのに対し、カノッビアーナ劇場は一般大衆向けとされていました。
1832年上旬、そのカノッビアーナ劇場からドニゼッティのもとに、緊急でオペラを用意するよう依頼が舞い込みます。
何しろ依頼が来たのが4月上旬、上演日は5月12日だというのですから本当に時間がありません。
ドニゼッティはその頃までに、仕事が早い人として劇場関係者の間で有名だったようです。

台本を書くことになったのは、フェリーチェ・ロマーニ。
ロマーニは19世紀イタリアを代表する台本作家の1人で、「ノルマ」や「夢遊病の女」などでベッリーニが最も多く仕事を共にした作家であり、ロッシーニやヴェルディにも台本を提供。
ドニゼッティとも「アンナ・ボレーナ」を始め、いくつかの作品で既に共同作業をおこなっています。
ちなみにロマーニの年齢はドニゼッティの12個上。
ロマーニは時間がないこともあって、既にフランスのパリで人気となっていた作品をアレンジして台本を製作することを決めます。
それが、フランスのオペラ作曲家オーベールによる「Le Philtre 媚薬」という作品です。
台本はフランスオペラの代表的台本作家スクリーブによるもので、1831年6月にパリで初演されています。
設定や登場人物はまるまる「愛の妙薬」そのまま、いや、ドニゼッティたちがこの「媚薬」を拝借したわけで、当時はこうした題材の使い回しは良くありました。
著作権がしっかりと定められていくのは、もっと後の時代のことです。
こちらの「媚薬」というオペラは、最近になって上演されたようで録音を聴くことが出来たのですが、ストーリーの構成などは「愛の妙薬」に、本当によく似ています。
ですが音楽の構成や雰囲気は全く違っていて、聴き比べることでドニゼッティのオリジナリティが際立っていることが良く分かりますし、ドニゼッティにインスピレーションを与える台本を書いたロマーニの腕も冴えわたっていると言えます。

ドニゼッティはロマーニに、「作曲を早く始めないといけないから、1週間ほどで台本を仕上げてください」と要求。
ロマーニは見事に台本を仕上げ、ドニゼッティも2週間ほどで作曲を完了。
…それにしても2週間とは、本当に驚きです。
ドニゼッティは静かな環境よりも、周りで友達がワイワイ騒いだりしている中で書いた方が作曲がはかどる、という性格でした。
ドニゼッティの数あるオペラ作品の中で現代まで残っているものは少ないものの、「愛の妙薬」は時間的余裕がない中でドニゼッティとロマーニの閃きによって名作となったと言えます。
「愛の妙薬」の初演は1832年5月12日、ミラノのカノッビアーナ劇場でおこなわれました。
ドニゼッティ34歳。
初演はおそらく成功したようで、その後シーズン内で32回も上演されたそうです。
それから現代に至るまで途切れることなく、世界中でドニゼッティ40作目のオペラ「愛の妙薬」は上演され続けています。
それでは、オペラのストーリーに移って参りましょう。
登場人物
ネモリーノ:村の若者
アディーナ:地主の娘
ベルコーレ:村にやって来た軍隊の軍曹
ドゥルカマーラ:村にやって来たインチキ薬売り
ジャンネッタ:村の若い娘

まずは前奏曲が演奏されます。
快活に始まったかと思いきや、穏やかで牧歌的な音楽が演奏されます。
聴いたら田舎の田園風景が必ず思い浮かぶような音楽で、小鳥のさえずりはフルートによるもの。
途中で短調にもなりますが、たまには天気の悪い日もある、といった感じですぐにまた穏やかな田園風景の音楽に戻ります。
まるでベートーヴェン交響曲第6番「田園」のような前奏曲は、明確な終止とならないまま、第1幕へなだれ込みます。
<第1幕>
色々な演出が成される作品ですが、ここではオーソドックスな舞台設定をもとにお話します。
幕が上がるとそこはヨーロッパの田舎の風景。
台本ではスペインのバスク地方と指定されていますが、バスク地方であることに特別な意味はないようです。
バスクの民謡が音楽に反映されているかというと、そんなことも無く、ドニゼッティ自身は恐らく自分の故郷なども思い浮かべていたのではないかとも言われていて、つまり田舎であればどこでも良いのでしょう。
”明るい農村”と言った雰囲気の音楽と共に、村人たちが小川のほとりにあるアディーナの家の前の広場で一休みして合唱曲を歌います。
小麦の刈り入れをしていたようで、季節は初夏の頃。
その輪の中心には村娘ジャンネッタがいます。
そこから少し離れたところで、オペラのヒロインであるアディーナが読書をしています。
楽譜に書かれたアディーナの人物欄には「fittaiuola」とあり、意味を調べると女地主とあります。
オペラの物語で描かれるアディーナの若さや状況を踏まえれば、「地主の娘」と解釈した方が現代の感覚では自然かと思われます。
しかしながら、19世紀ヨーロッパの農村では、若い女性であろうと地主になることは無くはなかったようで、もしかすると地主の家業の一環として、若いアディーナも農地を貸す名義人になっていたのかもしれません。
いずれにせよアディーナは、教育を受けた度合いが他の村人とは明らかに違いますし、後ほど村人たちに指図する場面もあります。
そんな彼女を見て、ため息をついている一人の若者がいます。それがネモリーノ。
彼は若い農夫であり、他の村人と同じく字も読み書きできません。
なのに村で一番賢く地位も高い、いわば高嶺の花であるアディーナにネモリーノは首ったけです。
「なんてキレイなんだ!なんて可愛いんだ!
でも僕はバカだから、こうしてため息をつくことしかできない。」
と、登場のアリアを歌います♫

すると、本を読んでいたアディーナが笑い出し、
「このお話、面白ーい!」
と言うので、周りの村人たちは「なになに、どんな話?聞かせて!」と、せがみます。
ネモリーノもみんなに交じって聞き耳を立てている様子。
そこからアディーナが読んでいた本の内容を語るアリアとなります。♪
アディーナは、文字が読み書きできない村人たちを下に見ているわけではないと思いますが、みんなの集まるところでわざわざ読書をしている辺り、アディーナもまた空気が読めないところがあるのかもしれません。
後のシーンでわかりますが、村の他の女性たちはアディーナに対して手放しの好意を持っているとは言えないセリフが出てきます。
つまりこの村では、ネモリーノとアディーナそれぞれが村の中でどこか浮いた存在であり、ある種の孤独を抱えていることが窺えます。

アディーナが語る本の内容は、「トリスタンとイゾルデ」のお話。
後にワーグナーがオペラ化したことで有名ですが、もともとはヨーロッパ全域に伝わる昔話。
日本で言う「桃太郎」や「かぐや姫」のようなものでしょうか。
お話の内容はこんな感じです。
「イゾルデは冷たい性格の王女で、美男子トリスタンは彼女に振り向いてもらえませんでした。
トリスタンは魔法使いのもとを訪ねて、”愛の妙薬”を手に入れました。
その妙薬を一口飲んだだけで、イゾルデの心は優しくなり、トリスタンの恋人となったのです」
これを聞いた村人は
「何それ面白ーい!そんな薬があったらいいね!」
となっているわけですが、ネモリーノだけは、
「そんな薬があったらいいのに!!」と真剣に思っています。
ここでネモリーノはある誤解をしてこの「トリスタンとイゾルデ」の物語を覚えてしまいます。
その誤解については後程。
そんなところへ、突然、小太鼓の音が鳴り響きます。
どうやら村に兵隊がやって来た様子。
いかにも軍隊風の行進曲と共に先頭を歩いてきたのは、軍曹ベルコーレ。
台本の紹介には、駐屯部隊の軍曹とあります。
ベルコーレの人物像として重要なのは、彼が自信たっぷりで男性ホルモンが濃い目の、まさにネモリーノとは対極にある人物ということ。

行進曲の音楽には、偉そうに威張っている軍曹に対して、どこかパロディ的にからかっているような雰囲気も感じられます。
それはドニゼッティ自身が幼い頃、故郷で目にしていた威張り散らす軍曹に対しての、ちょっと馬鹿にした目線のようなものが込められているのかもしれないそうです。
ベルコーレはそこにいたアディーナに目をつけ彼女に花束を渡し、彼女を自信満々かつスマートに口説くアリアを歌います♪
アリアの後もベルコーレは「さて、いつ俺と結婚してくれるんだい?」と大胆に口説き続けます。
アディーナは情熱的に口説かれて悪い気はせず、ジャンネッタと共にベルコーレへの興味を示します。
それを見たネモリーノは焦り出し、「僕もあんな風に口説けたらいいのに!!」と悔しがります。
音楽は合唱も加わったアンサンブルへ。
音楽が落ち着くとベルコーレは、広場で軍の部下たちを休ませることをアディーナに頼み、アディーナは
「どうぞ。さあ、みんなもそろそろ仕事に戻ってね!」
と、村人たちに促します。
こうやって村人たちに指図する辺り、やはりアディーナの地位は小作人たちの雇い主的なものなのかもしれませんね。
村人やベルコーレたちが去っていくと、ネモリーノはたまらずアディーナに話しかけます。
「一言だけ!アディーナ!」
ここからアディーナとネモリーノの二重唱となります♪
アディーナは
「もう、いつものように面倒くさいんだから!」
と言いつつもネモリーノの相手をしてやります。
「町にいるあんたの叔父さん、病気なんでしょ?
行ってあげなくていいの?」
「叔父さんの苦しみなんて、僕のに比べれば何てことないよ!」
ネモリーノは、離れて暮らしているらしいこの叔父さんとは疎遠になっているようです。
その叔父には子供がいないのでしょうか、
「相続が他のところに行ったらどうするの?」とアディーナは言うので、叔父さんにかなりの財産があることは皆知っているようです。
しかしネモリーノとその家族は今のところ叔父さんの恩恵には預かっていないようで、ネモリーノは大抵貧しい若者として描かれます。
アディーナはネモリーノに好かれていることは先刻承知ですが、
「あたしは気まぐれですぐに心変わりするから、あたしに恋したって無駄よ」
とネモリーノをあしらい、そこから自分の性格をそよ風に例えて、丁寧に歌い出します。
それを受けてネモリーノも
「あきらめるなんて、できないよ!」
と言ってから、アディーナの旋律をなぞるようにネモリーノも自分の気持ちを海へ向かう小川の流れに例えて歌い出します。
それは見事な詩と歌です。
ネモリーノは決して頭が良くないわけではなく、純粋過ぎるがゆえに村の中で浮いた存在になっています。
本当におバカだったら、このように詩を表現して歌うことはできません。
それは彼の純粋で繊細な感覚から生まれたとてもロマンティックなものです。
そしてアディーナはそんなネモリーノが嫌いではないはず。むしろ心の中では、大事に思っているのではないでしょうか。
…青春って素晴らしい!
二重唱はややテンポアップして終わり、二人はいったんその場を分かれて去っていきます。
さて少し時間がたってから、この広場に何やらラッパの音が響いてきます。
「なに、何の音??」
と、村人たちが集まってきます。
豪華な馬車でやって来たのは怪しげな風貌の男性、自称薬売りのドゥルカマーラ!
そもそもイタリアでは”コンメディア・デッラルテ(直訳では芸術的喜劇)”という伝統的な喜劇の”型”があります。
その起源は古代ローマにさかのぼるとも言われていて、演者が仮面をつけて即興芝居を行ったりします。
恋する若い男女、ドクター、軍人など、キャラクターの設定や性格がある程度決まっていて、イタリアにおける喜劇のオペラ、オペラ・ブッファにおいては各作品ごとにコンメディア・デッラルテの性格が当てはめられていることがほとんどです。
この「愛の妙薬」においてもコンメディア・デッラルテのキャラ付けは踏襲されていて、ネモリーノは恋する男(インナモラート)に騙されやすい男(プルチネッラ)の要素が追加、アディーナは恋する女性(インナモラータ)に世話好き女中(コロンビーナ)の要素も追加、ベルコーレは隊長(イル・カピターノ)、ドゥルカマーラは医者(イル・ドットーレ)といった具合です。
(ジャンネッタもコロンビーナ?)
ドゥルカマーラはここで、まさに典型的な”医者(イル・ドットーレ)”の役割である、医学の知識を大げさに語るアリアを歌います♪
集まってきた村人に向けて、
「さてさてお立合い、村の衆!ここに来るは偉大な医者にして、博学にもほどがある博士、ドゥルカマーラであーる!
世界の各地であらゆる病を治し、みなの健康のため、こうして薬をお安く売り歩いておる!
さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!ここに薬の証明書もちゃんとある!
この薬のおかげで70代の年寄りも未亡人たちもすっかり元気になった!
卒中も喘息も虚弱体質もヒステリーもぜーんぶ治っちゃう!
さあどうだ!いくらで売るかって?100スクーディ!だめか!? 30? 20?
こうなりゃ持ってけ泥棒!1スクードだ!!」
スクーディ、スクードはこの当時のお金の単位ですが、まあ何というかインチキ臭いw
我々日本人はすぐに、寅さんを思い浮かべそうなところです。
ちなみに1スクードは現代の円に換算すると、約3700円ほど。
最初は薬を1瓶100スクーディ、37万円で売りつけようとしていたのですね。
1本1スクード3700円となったら、みんな、
「1スクード?気前がいいな!それなら買うか!」
となってしまいましたw
この調子でドゥルカマーラはすっかり村の人気者となっていきます。

その様子を離れたところから見ていたネモリーノ。
「…この人だ…きっとこの人を神様が遣わしてくださったんだ!」
このドゥルカマーラ先生は、先ほどアディーナが読んでいた、イゾルデ王女が飲んだという”愛の妙薬”も売っているに違いない!とネモリーノは確信し、勇気を出してドゥルカマーラに声を掛けます。
「先生、あのぅ、、秘密の薬みたいなのも、お持ちですか…?」
「当たり前だ!私のポケットは、何でも出てくるパンドラの箱だぞ!」
「では、イゾルデ王女の愛の飲み物も?」
「ん?…何?何だって??」
ここからネモリーノとドゥルカマーラの愉快な二重唱となります♪
「飲めば、愛を呼び起こすようなそんな薬は…」
「ああ、はいはい!それね!むしろわたしゃ、そういった薬の専門家だよ!」
「ほんとですか!?1ツェッキーノで足りるでしょうか??」
「ちょうどその値段だ!」
「ああ!!先生、どうぞお受け取りください!!」
1ツェッキーノは金貨で、現代の日本円にしておよそ5万円。
何やら若い奴が血走った眼で妙なことを頼んできている。
ドゥルカマーラにしてみれば、カモがネギを背負ってやって来たようなもの。
安めのボルドーワインをそれっぽく渡して、ネモリーノはすっかりそれを「愛の妙薬」と信じ込みます。
「ありがとうございますありがとうございます!!僕は幸せです!!」
ドゥルカマーラは思います。
「(こんなアホは見たことがない!)」
音楽はドライブ感があり、物語が大きく動くことを予感させるものです。
ネモリーノの喜びと、ドゥルカマーラがぶつぶつ早口で独り言を言っている様の対比が見事に表現されています。
「この薬はどうやって飲むんですか?」
「飲む前によく振ってだな、蒸気が逃げないようにサッと蓋をして、チビチビやるのだ」
「効果はすぐに出ますか?」
「まる1日必要だな(その間にトンズラしちまおう)」
「味は?」
「格別だ!(薬じゃなくてワインだからなwww)
おっと、若いの!これは秘密にしておけよ!
お役所に睨まれたら大変だからな!」
「わ、わかりました!誰にも言いません!!」
「明日には全ての女たちがお前に首ったけだぞ!」
「いや先生、僕が飲むのは1人の女性のためだけです!」
こうしてネモリーノは”愛の妙薬”を手にして、ドゥルカマーラは居酒屋に入っていきました。

1人になったネモリーノ。
手にした”妙薬”をいとおし気に見つめています。
「でも何で効果が出るまで1日かかるのかな、、、飲んでみるか!!」
薬だから苦いかと思いきや…「旨い!!もう一杯!!!」
と飲んだ結果、すっかりネモリーノは良い気分になってきました。
「血管という血管が熱くなってきた!きっと彼女もこの熱さを感じているに違いない!!」
…ネモリーノはやはりアディーナが読み聞かせた「トリスタンとイゾルデ」のお話の内容を勘違いしているようです。
恋に落ちる”妙薬”は男女両方が飲まないと効果は出ないと思うのですが、ネモリーノは自分が飲みさえすれば女性の心を掴めると誤解しています。
すっかり酔っ払ってしまったネモリーノは「ラララ」と歌い出しています。
やがて当のアディーナがやって来ますが、いつもと違うネモリーノの様子に困惑。
アディーナに気づいたネモリーノは、
「はっ!!今は近づくのをやめておこう。明日になったら僕に惚れちゃんだから!」
そして「ラララ」と酔った状態での歌を続けます。場合によっては踊り出しちゃうこともw
自分のことを見ようともしないネモリーノに、アディーナはイラつきます。
アディーナの心の奥底では、いつも自分に不器用ながらも言い寄ってくるネモリーノの存在が疎ましいどころか、それこそが彼女にとって一番大切なものであったということにアディーナはまだ気づいていません。
2人の心が噛み合わない愉快な二重唱となります♪が、音楽はほぼ途切れることなく第1幕のフィナーレまでなだれ込んでいきます。
妙薬を飲んだという自信と酔いですっかり気が大きくなっているネモリーノ。
イライラが頂点に達しつつあるアディーナ。
そんなところへ、再び軍曹ベルコーレがやって来ます。
再び口説いてきたベルコーレに、アディーナは
「あなたの攻撃に降伏するかもしれないわ」と、ネモリーノへの当てつけとして応じます。
離れたところからその様子を見ているネモリーノは、もちろんヤキモキ。
「美しい天使さん、いつ俺と結婚してくれるんだい?」というベルコーレの問いにアディーナは答えます。
「6日以内に!」
それを聞いたネモリーノは一転、高らかに笑い出します。
ネモリーノは明日アディーナが自分に惚れると思っているので、勝利を確信しているのです。
そんなネモリーノと、その様子にイラつくアディーナとベルコーレが早口でまくし立てる三重唱となります♪
そこへジャンネッタを先頭に、他の軍人たち、村人たちが一斉に駆け込んできます。
何やら軍の本部から伝令が来たとのこと。
ベルコーレが指令書を読んだところ、
「みんな、出発だ!明日の朝に!」
みな驚き、ベルコーレはさらにアディーナに詰め寄ります。
「俺に愛を誓ってくれるなら、今日、俺と結婚してくれないか!?」
ネモリーノはそれを聞いて明らかに動揺します。
「今日だって!!?」
ネモリーノが動揺しているのを見たアディーナ、これは復讐のチャンス!とばかりに、
「いいわ!今日この日にしましょう!!」
「そんな!!アディーナ!!せめて明日の朝まで待ってよ!!」
「どうして??」
理由が言いたくても言えないネモリーノ、絶望しながら突如あまりにも悲し気な歌を歌い出します。
ここの音楽もドニゼッティがネモリーノに託した、ロマンティシズムの境地ともいえるものです。
「アディーナ、信じて、君はあいつとは結婚できない。
1日だけ待って。
明日になったら、君が苦しんでしまうんだ、僕みたいに。」
ここで胸を打つのは、ネモリーノは自分自身のためにアディーナの結婚を止めようとしているわけではない、ということです。
ネモリーノが”妙薬”を飲んでしまったことで、明日アディーナはネモリーノのことしか愛せなくなる。
妙薬の効果が出る前に結婚してしまったら、アディーナは苦しんでしまう。
ネモリーノが必死にアディーナの結婚を止めるのは、あくまでアディーナの為なのです。
それは完全にネモリーノの誤解なのですが、ネモリーノが純粋過ぎるがゆえにそのような言葉が出てきて、それが美しい音楽となって表現されています。
ベルコーレは
「酔っ払っているんだか知らんが、お前が素面だったら八つ裂きにしているところだぞ!」
と、悪態をついています。
アディーナは、ネモリーノを殴ろうとするベルコーレを「あの人はバカなんだから、大目に見てあげて」となだめてネモリーノをかばいつつも「復讐してやるわ」と歌い、ここで彼女に慈悲の心が芽生えた、とは言えないようです。
ここからイタリアオペラに欠かせない、全体のコンチェルタートと呼ばれる壮大な音楽となります。
そしてアディーナは
「行きましょうベルコーレ。公証人に知らせなくちゃ。(公証人とはこの時代、結婚に必要な書類を揃えるお役人さんのこと)
披露宴にはみんなを招待するわ!」
村人たちは大喜び。
ネモリーノは絶望のあまり混乱しながら、ひたすら「先生、先生!助けてください!!」と、必死でその場にいないドゥルカマーラに助けを求めます。
アディーナ、ベルコーレ、村人たちは披露宴パーティーを楽しみにしつつ、ネモリーノをバカにしています。
そして音楽はテンポアップして、一気にフィナーレが盛り上がり、第1幕が終わります。
<第2幕>
第1幕と同じ広場で、アディーナとベルコーレのための披露宴が賑やかに行われています。
村人たちも大いにパーティーを楽しんでいますが、アディーナは心中で
「ネモリーノがここにいれば面白いのに!」と思っています。
あくまでアディーナはネモリーノを困らせたいだけで、本心からベルコーレを愛して結婚するわけでは無さそうです。
しっかり披露宴に参加しているドゥルカマーラが、余興として
「私が1曲、歌を歌うぞ!花嫁さん、ご一緒してくれるかな?」と立ち上がり、歌詞やメロディが書かれた紙をアディーナに渡して、アディーナとの小さな二重唱のようになります♪
曲はヴェネツィアのゴンドラ乗りの女性ニーナを金持ちの議員が口説くという内容で、音楽的にも何一つ深刻なところは無いのでストーリーにおける小休止のような場面だと思われがちです。
しかしよくよく歌詞を見てみると、アディーナが扮するニーナは金持ちで権力がある男性からの誘いを断り、
「若いザネットと結婚したいのです」と歌います。
どこまでストーリーとして意図されているかは分かりませんが、この歌のニーナの心情が実はアディーナの心の奥底にある”若いネモリーノと一緒になりたい”という本音だと捉えられなくもないと私は思っています。

披露宴が盛り上がったところへ、公証人が到着します。
いよいよ結婚が正式に決まってしまう…!という段階になってアディーナは、
「公証人が来たのに、ネモリーノが来ないじゃない…!」とつぶやきます。
やはり、本心ではアディーナはネモリーノにこの結婚を止めてほしいのでしょうか?
ベルコーレもアディーナの様子を不審に思いますが、公証人との書類作成のためベルコーレはアディーナを連れて行き、他の人々も退場していきます。
そこに残ったドゥルカマーラは、披露宴の料理など頬張りながらくつろいでいます。
一方、公証人が来たのを遠くから見ていたネモリーノがトボトボとやって来ますが、ドゥルカマーラの姿を見つけて
「先生!ここにいたんですか!!僕は明日じゃなく、今日中にアディーナに愛されなくてはいけないんです!!」
「(頭がいかれちまったようだな)では、もう1本、妙薬を飲みなさい。(30分後には失敬しよう)ところで金はあるか?」
「ああ、もう無いです。。」
「それなら話は別だ。金が出来たら来い!そこの居酒屋で15分だけ待ってやる!」
「あああ、もう駄目だ…!」
ネモリーノはひとり、絶望します。
そこへ、ベルコーレがブツブツとつぶやきながら登場。
「女心ってのは分からんもんだな。
アディーナは俺と結婚したいはずだが、今夜まで待ってくれとは…。」
そこにいたネモリーノを見つけたベルコーレは、ネモリーノに尋ねます。
「お前、何をそんなに絶望してるんだ?」
「僕には、、金がないからさ!どうやって稼げばいいのか…」
「金がないなら、軍隊に入れ!20スクーディもらえるぜ!」
スクード、スクーディは銀貨の単位で、20スクーディだと現代の日本円で約75000円ほどだそうです。
それが今すぐ現金現ナマで貰える!
ネモリーノは悩みます。
「(戦争に行ったら命の危険があることは分かってる。
叔父さんや親族を捨てて行かなくちゃならない…。
でも他に手立てはないんだ…、
アディーナの心を1日だけでも勝ち取るには!)」
そんな思いを抱いているネモリーノの後ろから、ベルコーレが「20スクーディだぞ」とか「現ナマだぞ」とか囁いてネモリーノを軍に勧誘しています。
ベルコーレは
「軍に入れば女の子だってより取りみどりだぜ!」
と、あくまで陽気。
シリアスに悩むネモリーノと陽気なベルコーレの対比が面白く、音楽的に聴きごたえのある二重唱です♪。
ついにネモリーノは決意して、入隊書類に大きくバツ印だけ書いてサインの代わりにして(ネモリーノは字が書けないので)、ベルコーレからお金を受け取ります。
これでドゥルカマーラ先生から”妙薬”を再び買える!と意気込むネモリーノ。
恋敵を入隊させてやったとは、俺の評判も上がるなこりゃ、とほくそ笑むベルコーレ。
音楽も盛り上がって二重唱が終わります。
誰もいなくなったところへ、ジャンネッタと村の女性たちがそーっと集まってきます。
「ねえほんとなの?」「嘘でしょ」「ほんとみたいよ」
皆がコソコソ噂話をしています。
ジャンネッタがある行商人から聞いたところによると、先日ネモリーノの叔父さんが亡くなって、莫大な資産をネモリーノに遺したとのこと。
女性たちは今までネモリーノを間の抜けた若者としか思っておらず眼中になかったはずですが、遺産のことを知った女性たちは一転、玉の輿に乗ろうと考えてネモリーノと一緒になることを望みはじめます。
ジャンネッタと女声合唱のキュートな1曲です。

そこへ、20スクーディ分の”妙薬”であるところのワインをたっぷり飲んだネモリーノが登場。
もはや、へべれけ状態ですw
そんな彼のもとにジャンネッタや女性たちが突然群がり、ネモリーノに色目を使ってきます。
「彼女たちはいったいどうしたんだろう…。…あ!!分かった!!妙薬の効果が出てるんだ!!!」
ネモリーノは大喜び!
そこに居酒屋からドゥルカマーラ、そして別方向からはアディーナがやってきますが、ネモリーノが急にモテている現場を見てびっくり仰天!
ここから先は四重唱+女声合唱となりますが、カットされることも多いです。
確かに無くてもストーリーが成立することはしますが、ここから先のシーンには面白いポイントがいくつもあります。
ジャンネッタや女性たちはネモリーノを踊りに誘います。
「私も!」「私よ!」「まあまあ落ち着いて。まずは君、次は君!」と、ネモリーノもだんだん調子に乗ってきます。
アディーナはたまらず、
「ネモリーノ、話があるの!」
とネモリーノに声を掛けますが、ネモリーノは、
「ついにアディーナも!!」と思います。
アディーナは、
「ベルコーレが言ってたけど、あんた大した額でもないお金で兵隊になるって。そんなの間違いよ!」
とネモリーノに兵隊に入るのをやめるよう促しますが、ネモリーノは有頂天になっているのでアディーナの話があまり入って来ません。
ドゥルカマーラは自分が渡した”妙薬”の効果に驚き、
「この村の者たちにワインを妙薬だと売りまくって、また大儲けできるぞ!!」と思っています。
ジャンネッタや女性たちはアディーナを
「アディーナは全ての男にモテると思ってるみたいだけど、あんたが思っているほどこの人(ネモリーノ)は簡単にはいかないわよ!」とささやき合っています。
それぞれの思いや台詞が交錯して、第2幕のストーリーに厚みを加えるシーンとなっています。
何より、ハイテンションでリズミカルな音楽は聴き応えのあるものです。
チャンスがあれば、ぜひ聴いてみてください。
ネモリーノはジャンネッタたちに引っ張られて踊りに行ってしまいました。
残されたアディーナとドゥルカマーラ。
この時点で二人は、ネモリーノが突然モテているのは彼の叔父が亡くなって遺産が入るから、ということは知りません。
ドゥルカマーラはアディーナに話します。
「私の妙薬のおかげでネモリーノはあんなにモテているのだ!」
「どういうこと?」
「あやつは、ある冷たい女の心を得ようと、女王イゾルデの”愛の妙薬”を私から買ったのだよ。」
「イゾルデですって!?」
それは、冒頭でアディーナがみんなに読み聞かせていたあのお話。
「その妙薬を手に入れるために、あの若造は自由と引き換えに軍隊に入ったのだ!」
「!!そんなに私を愛していたなんて…」
ここから二人の有名な二重唱となります♪
アディーナは、ネモリーノが自由と命をかけてまで自分を愛してくれていたことに驚き、今までネモリーノに冷たくしていたことを後悔しています。
そんなアディーナの様子を見てドゥルカマーラは、
「こりゃこの娘にも”妙薬”が必要だな。うっしっし」と思っていますw
穏やかな音楽の前半から、後半は何とか妙薬を売りつけようとするドゥルカマーラに対してアディーナが
「妙薬の効果にリスペクトは払いますけど、ネモリーノの心は私自身の魅力で奪ってみせるわ!」
と、オペラ・ブッファのヒロインにふさわしい明るさを取り戻し、快活な音楽で歌う後半へと移り、楽しく二重唱が閉じられます。
そしてここからネモリーノによって、このオペラで最も有名な1曲であり、古今のテノールのアリアの中でも5本の指に数えられるほどの名曲である”人知れぬ涙”が歌われます♪
このアリアだけ聴くと、このオペラが喜劇ではなく悲劇なのではと思うぐらい、ロマンティックで感動的な曲です。
ネモリーノはジャンネッタたちに引っ張られていく時、アディーナの目に涙が光っているのを見ました。
「あの涙が見られただけで、僕はこれ以上何を望む?
彼女が僕を愛してくれてる!神様、僕はもう死んでもいいです!」
ネモリーノはこの時点で、軍隊に入る決意をしたまま。
だからここで、彼は「死んでもいい」とアリアの後半で喜びと感動を爆発させるのです。
この喜劇にそぐわないほどのロマンティックな音楽は、こうしたネモリーノの命を落とす覚悟を踏まえたもの。
ドニゼッティは台本作家ロマーニの反対を押し切ってこのアリア(正式にはロマンツァ)を入れたと言われています。
このロマン主義の時代に生まれた音楽や文学などの芸術には、このように死の影を感じさせるものが多くあります。
最初に申し上げたように「愛の妙薬」は単なるドタバタ劇ではなく、死の影がチラつく大変にロマン主義的なオペラなのです。
ちなみにこのアリア、聴いている分にはシンプルな構成とメロディに聞こえますが、歌うのにはかなりの技術が必要な難曲。
しかもオペラの終盤にこれが来るので、ネモリーノ役のテノール歌手は最後まで気が抜けませんw
そこへ、アディーナが静かにやって来ます。
「ネモリーノ、ちょっといい?
ベルコーレから兵隊に入る契約書を買い戻してきたわ。」
「君が!?(そりゃそうか、これも妙薬の効果だ!)」
そして、
「受け取って」とアディーナが歌い出すアリアとなります♪
アディーナは「軍隊にはいかないで、故郷に残って。」とネモリーノに切々と歌います。
ところが、肝心の自分の気持ちは言わないままアディーナはその場を去ろうとしてしまうので、ネモリーノは激高します。
「もういい!!それなら僕は兵士として死にたい!!
ドゥルカマーラ先生が僕に嘘をついていたなら、僕にはもう幸せなんて無いんだ!!!」
それを聞いたアディーナはついに、ネモリーノへ高らかに歌います。
「先生は嘘をついてないわ!私はネモリーノ、あなたが好き!!愛してる!!!」
「僕を!?うわああ、嬉しい!!!!」
アディーナが当初、何も言わずに去ろうとしたのは、ネモリーノの本音や心の叫びを引き出したかったからでしょう。
やはりアディーナの方が恋愛の駆け引きに置いて一枚うわてのようです。
そしてアディーナによるコロラトゥーラ(細かい音符)の技術が要求されるカバレッタ(大きいアリアの前半後半、のうちの後半)となり、音楽は一気に幸福感に満たされて盛り上がります。
ネモリーノの”人知れぬ涙”とはまた違い、このアディーナのアリアにはどちらかというとスポーティな大変さがありますが、このネモリーノとアディーナそれぞれがアリアを歌うことでこのオペラがクライマックスを迎えます。

晴れて両想いとなった2人が抱き合っているところに、ベルコーレや兵士たち、あとからドゥルカマーラやジャンネッタなど村人たち全員がやって来ます。
2人を見て驚くベルコーレですが、
「それならそれで構わんさ!後悔するぜ?女はいくらでもいるからな。」
と、名前の通り(ベルコーレ→美しい心)、引き際の良さを示します。
そしてドゥルカマーラは、ネモリーノの叔父さんが亡くなってネモリーノが大金持ちになったことを二人に告げ、
「すべてはこの”妙薬”のおかげなのだ!!」
と、こじつけのようにも思える内容を第2幕冒頭の宴会の場面で歌った舟歌のメロディに乗せて、フィナーレとなる歌を歌います。
その内容はどこかワイン、お酒を賛美するようで、これを歌うドゥルカマーラはギリシア神話における酒の神バッカスのようにも見えてきます。
皆が大騒ぎでドゥルカマーラに別れを告げて、オペラ全体の幕が下ります。
いかがでしたでしょうか。
好きなのに想いを上手に伝えられないネモリーノ、素直になれないアディーナ、ふたりのやり取りは何とも青春恋愛ドラマな感じで、そういったジャンルの最初の完成形なのではないかと思えます。
もちろんこれ以前にも若い男女の恋愛模様を描いた作品は沢山あったわけですが、物語の構成の分かりやすさ、適度なバカバカしさ、音楽の素晴らしさ、これらを兼ね備えた作品としては最初にして随一の完成度なのではないでしょうか。
村の外からやって来るベルコーレやドゥルカマーラ、村人代表のジャンネッタたちのキャラクターも魅力たっぷりで、イタリアオペラを歌う名歌手たちも多くの録音や映像を残しています。
イタリアオペラの喜劇、オペラ・ブッファの形式に則りつつもはみ出した部分もあり、だからこそ後の世にまで残る名作となった「愛の妙薬」。
舞台設定をどこの国、どの時代にしても普遍的に理解することが可能なこのオペラは、きっとこれからも上演され続けることでしょう。
どこかで舞台に接する機会がございましたら、ぜひ触れてみてください。
ありがとうございました。
髙梨英次郎でした。
<参考文献>(敬称略)
Guglielmo Barblan / Bruno Zanolini 著「ガエターノ・ドニゼッティ ロマン派音楽家の生涯と作品」(高橋和恵・訳)
スタンダード・オペラ鑑賞ブック [1] 「愛の妙薬」 小畑恒夫
コメント