スタンドFMでお話したことの文字起こしです。
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こんにちは、テノール歌手の髙梨英次郎です。
今日は、年末ということもありまして、ベートーヴェン交響曲第9番、いわゆる第九について、僕なりにお話してみようと思います。
言わずと知れた大作曲家ベートーヴェン先生には、日本の声楽家のほとんどが第九でお仕事をいただき、お世話になっていると言っても過言ではないと思います。
僕もソロに合唱に、何度演奏させていただいたか数え切れません。
オーケストラの方々も声楽家も、年始のお餅代を稼がせていただく、という言い方もされますが、以前は年末だけでなく何なら1年中、全国津々浦々で第九が演奏されていました。
それが2020年2月からは、ほとんどその機会が失われてしまいました。
大人数で密集して声を出して歌うことが憚られるようになり、2021年末現在でも、完全に元通りになったとは言えない状況です。
それでも、オーケストラや合唱の人数を減らして、距離を空けて、様々な対策を施して、少しずつ演奏の機会が戻ってきて参りました。
それも、毎年第九を聴くのを楽しみになさっていたお客様方のおかげです。
ですが、一般の方がコーラスを歌うという機会はまだまだ失われたままです。
第九を、聴く喜びと共に、歌う喜びも皆様に大いに味わっていただきたいので、そんな状況が早く戻ってきてほしいと願わずにはいられません。
第9は、それ以後の多くの音楽家が影響を受けざるを得なかった、あるいは避けては通れない、まさしく金字塔的作品であります。
今更僕が語るまでもないのですが、「全ての人類は皆、きょうだいとなる。」というメッセージは永遠不滅ですし、その音楽を最後まで聴いた時の興奮と感動は、言葉では言い表すことができないものです。
クラシックに普段馴染みのない方には、「新世紀エヴァンゲリオン」テレビアニメ版で、まるまる第九の第4楽章が流れるだけの回がある、ということでも有名なようですね。
実は僕も、ファンと言うとおこがましいのですが、アニメ版を全て観て、映画版も最後のシン・エヴァンゲリオンまで見届けました。
第九をチョイスする庵野監督のセンスは素晴らしいと思います。
クラシック音楽においては、演奏者指揮者によって、ほんっとーに十人十色、様々な解釈やテンポ設定がなされて、1つとして同じ演奏はあり得ません。
第九ほど演奏機会が多い作品であっても、何回聴いても何回演奏しても新たな発見がある、まさに”神曲”です。
皆様もベートーヴェン第九、除夜の鐘の前に、お近くでコンサートがあれば足をお運びいただくか、まだ難しければ、お家で名演奏の音源や動画を鳴らしてみてください。
そして共に、新たな年を、希望をもって迎えましょう。
ありがとうございました。
髙梨英次郎でした。
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