今回は、モーツァルト作曲オペラ「Cosi fan tutte コジ・ファン・トゥッテ」についてお話しいたします。
標準イタリア語ではコジ、ですが、台本では物語の舞台がナポリと設定されていて、南部イタリアの発音ではCosiはコシとなりますので、「コシ・ファン・トゥッテ」でも間違いではありません。 呪文のようなカタカナのタイトル、その意味はイタリア語で「女性はみなこうする」という意味の言葉です。 なぜ日本語タイトルの「女性はみなこうする」と呼ばないかと言えば、そのストーリーの内容からして、「女性に限った話ではないではないか!」とか「女性に失礼だ!」と取られかねませんので、ある程度ぼかすために原語のままのタイトルで扱っているものと思われます。 イタリア語が男性名詞・女性名詞と明確に区別されている関係で、このようなことが起きてきます。 「tutti トゥッティ」にすれば、「人間皆こうする」にできるのですが…。 ちなみに正式タイトルは「Cosi fan tutte, ossia La scuola degli amanti 女性は皆こうする、もしくは恋人たちの学校」です。 台本制作当初は後半の「恋人たちの学校」がタイトルだったようで、その方が当たり障りなくて良い気も致します。
このオペラが作られるきっかけについては資料が少なく、その中ではこのようなお話が伝わっています。 時のオーストリア皇帝ヨーゼフ2世が「フィガロの結婚」(① https://tenore.onesize.jp/archives/133 ② https://tenore.onesize.jp/archives/134) を鑑賞した際、登場人物の一人ドン・バジリオが放つ「Cosi fan tutte 女性は皆こういうことしますよね」というセリフを皇帝がいたく気に入り、モーツァルトと台本作家ダ・ポンテにこのセリフをテーマにオペラを作るよう指示した、というものです。 ですが最近ではこの説は根拠が薄いとして、事実ではないだろうとされています。
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