オペラ解説:モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」①成り立ち、初演

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オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」解説 - テノール歌手:髙梨英次郎のトークです | stand.fm
モーツァルト作曲のオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」の解説です。 オペラ喜劇の大傑作!どうぞチェックしてみてください♫ 0.00〜 導入、作曲・初演までの経緯 7.00〜 序曲、第1幕 30.41〜 第2幕 #モーツァルト #コジファントゥッ...

こんにちは!テノール歌手の髙梨英次郎です。
本日もオペラを解説して参ります。
オペラって面白いですよ!

今回は、モーツァルト作曲オペラ「Cosi fan tutte コジ・ファン・トゥッテ」についてお話しいたします。

標準イタリア語ではコジ、ですが、台本では物語の舞台がナポリと設定されていて、南部イタリアの発音ではCosiはコシとなりますので、「コシ・ファン・トゥッテ」でも間違いではありません。
呪文のようなカタカナのタイトル、その意味はイタリア語で「女性はみなこうする」という意味の言葉です。
なぜ日本語タイトルの「女性はみなこうする」と呼ばないかと言えば、そのストーリーの内容からして、「女性に限った話ではないではないか!」とか「女性に失礼だ!」と取られかねませんので、ある程度ぼかすために原語のままのタイトルで扱っているものと思われます。
イタリア語が男性名詞・女性名詞と明確に区別されている関係で、このようなことが起きてきます。
「tutti トゥッティ」にすれば、「人間皆こうする」にできるのですが…。
ちなみに正式タイトルは「Cosi fan tutte, ossia La scuola degli amanti 女性は皆こうする、もしくは恋人たちの学校」です。
台本制作当初は後半の「恋人たちの学校」がタイトルだったようで、その方が当たり障りなくて良い気も致します。

現代の世の中では色々と物議をかもしそうな題名と内容のオペラですが、今も世界中で上演されている、モーツァルトのオペラの名作に数えられています。
また音大や研修所など、若手がオペラを勉強するのに最適な教材としてしばしば扱われています。
モーツァルト作品はもともと教育機関で扱われることが多い作曲家ですが、その中でもこの「コジ・ファン・トゥッテ」は群を抜いて取り上げられている印象です。
それはなぜか。
詳しくお話して参ります。


このオペラが作られるきっかけについては資料が少なく、その中ではこのようなお話が伝わっています。
時のオーストリア皇帝ヨーゼフ2世が「フィガロの結婚」(① https://tenore.onesize.jp/archives/133https://tenore.onesize.jp/archives/134) を鑑賞した際、登場人物の一人ドン・バジリオが放つ「Cosi fan tutte 女性は皆こういうことしますよね」というセリフを皇帝がいたく気に入り、モーツァルトと台本作家ダ・ポンテにこのセリフをテーマにオペラを作るよう指示した、というものです。
ですが最近ではこの説は根拠が薄いとして、事実ではないだろうとされています。

ヨーゼフ2世

一説によると、前の2作、「フィガロの結婚」と「ドン・ジョヴァンニ」(① https://tenore.onesize.jp/archives/135https://tenore.onesize.jp/archives/136 ) が男性の浮気をテーマにしていた作品なので、皇帝が「今度は女性の浮気をテーマにオペラを作れ」とモーツァルトたちに指示したという説を唱える評論家先生もいらっしゃいますが、真相はいかに?といったところです。

このオペラには、「フィガロの結婚」などのような、明確な原作はありません。
いくつかの喜劇作品をもとにして、ダ・ポンテがオリジナルでまとめたもの、とされています。

R. Da Ponte

もともとは当時ウィーンの宮廷学長だった作曲家、サリエリが作曲することになっていたようですが、サリエリはこの仕事を断念してしまいました。その理由は不明です。
サリエリに次ぐポジションだったモーツァルトにこの仕事が回されてきて、作曲が開始されました。

こうしてオペラは完成し、1790年1月26日、ウィーンのブルク劇場で初演されました。モーツァルト、34歳になる前日のことです。
初演に関する情報はほとんどないのですが、その後も数回上演されたので一応成功したとみてよいでしょう。
ですが、2月なかばに皇帝ヨーゼフ2世が崩御して、自粛ムードとなって劇場は休止。
その後は年に数回程度上演されるくらいでした。

その後ロマン主義の高まりが影響して、この作品は不道徳だ!というムードが支配的となり、あまり上演されなくなっていきました。
特にベートーヴェンやワーグナーはこの作品を嫌っていたようです。特にその台本がよろしくない!ということだったようですが。
そこから20世紀に入ってこの「コジ・ファン・トゥッテ」は再評価され、現在ではモーツァルトオペラの代表作の一つとなっています。

そうなった理由は、やはり音楽の素晴らしさが第一に挙げられるでしょう。
中でも特筆されるのはアンサンブルの多さ、つまり二重唱や三重唱、登場人物全員でのフィナーレなど、複数で歌う音楽が充実していることです。
また登場人物は男性3名女性3名で、音楽やストーリーの展開などが非常にシンメトリック(対照的)に作られており、勉強がしやすい作品です。
なので、教育機関で扱われることが多いのです。
ストーリー的には不道徳であるにも関わらずw。

ではどういったところが不道徳なのか、次回ストーリーを掲載いたしますので、ぜひチェックしてください。

ありがとうございました。

髙梨英次郎でした。


<参考文献>(敬称略)

松田 聡「モーツァルトのオペラ 全21作品の解説」
名作オペラブックス「コシ・ファン・トゥッテ」
スタンダード・オペラ鑑賞ブック [3]「ドイツ・オペラ 上」

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